墨は糸の染まるを悲しみ、詩は羔羊を讃す。
千字文に出てくる句です。
墨子曰く「蒼に染まれば蒼となり、黄に染まれば黄となる。入るところのもの変ずればその色もまた変ず」
墨子が白い糸を染めるを染める様子を見て嘆いて言ったそうです。
すなわち「人は糸のように悪に染まるもの」ということです。
いつの世も人の本質、悩みは変わらないことが千五百年も前に編纂された千字文からもうかがい知れます。
下の句は詩経の羔羊篇の文王の政を讃した文だそうです。
「当時の士大夫は上の徳化に染められて義に死し、礼に生き、節倹、正直で、徳が羔羊のようである」ということを伝えています。
これは子羊が乳をのむときにひざまずいて人の礼に違わない姿からきているそうですが、
「今の世の人は子羊(獣)にも及ばない」といって羔羊の詩を作ったそうです。